医療機関のキャッシュレス決済。導入のための3ステップ完全ガイド

医療機関様でのキャッシュレス決済導入が加速しています。
新規開業のクリニック様では、セルフレジ(自動精算機)やセミセルフレジ(自動釣銭機)と同時にキャッシュレス決済を取り入れるケースが増加中。
開業済みのクリニック様でも「患者様の現金準備の負担を軽減したい」という理由から、キャッシュレス対応を検討されるケースが多数見受けられます。※
そこで以前、医療機関様がキャッシュレス決済を導入する際のメリットについてご紹介しました。
> 医療機関のキャッシュレス決済導入ガイド。導入のメリットや選定時の注意ポイントを徹底解説
今回は、具体的に導入を検討中のクリニック様や動物病院様に向けて、導入をスムーズに進めるためのステップを解説します。
※ 参考:セミセルフレジOWEN(オーエン) 導入事例
『患者様が現金を用意する手間をなくすために』OWENでキャッシュレス決済を実現
目次
ステップ1:導入スケジュールを確認しよう
キャッシュレス決済の導入には一定の準備期間が必要です。スムーズな導入のために、事前にスケジュールを把握しておきましょう。
開業や承継など、明確なスタートがある場合は、より確実なスケジュールで導入できるように半年ほど前から情報収集を始めると安全です。
キャッシュレス決済のみ導入の場合
- 申込から設置までの期間:約2~3カ月
- スケジュール例:
- 1. 申込み(必要書類の準備)
- 2. 審査期間(複数の決済会社の審査が入ると、さらに時間を要します)
- 3. 端末設置・導入研修など
- 4. 運用開始
POSレジと同時にキャッシュレス決済を導入する場合
POSレジとキャッシュレス端末を設置する場合、両者の連携・連動設定に1カ月ほどかかります。また、連動費用なども別途かかることを念頭においておきましょう。
- 全体の導入期間:約3~4ヶ月程度
- スケジュール例:
- 1. POSレジ・キャッシュレス決済の申込み
- 2. 審査期間
- 3. POSレジ設置
- 4. キャッシュレス端末設置
- 5. POSレジ・キャッシュレス端末の連動設定(約1カ月)
- 6. スタッフ研修
- 7. 運用開始
ステップ2:キャッシュレス決済の種類を選ぼう
医療機関様に導入できるキャッシュレス決済には主に3種類あります。それぞれの特徴を理解し、クリニックの特性や患者層に合った決済方法を選びましょう。
クレジットカード決済:普及率の高さが魅力

クレジットカード決済は、最も普及している決済方法のひとつで、幅広い年齢層の患者様に馴染みがあります。
特に自費診療を多く扱うクリニック様や、高額な診療費が発生する診療科に適しています。美容医療、さらに歯科であればインプラントなどの高額決済にもスムーズに対応でき、患者様の経済的負担を分散できる効果も期待できるでしょう。
最近では、タッチ決済に対応したクレジットカードも増えており、会計時間の短縮にも貢献。
導入する際は、主要なクレジットカードブランドに対応しているかどうかも確認しておくとよいでしょう。
交通系IC:手数料率が低く、都市部に最適

電子マネーの一種である交通系ICは、都市部のクリニックや通勤・通学者が多い地域の医院に適した決済方法です。
多くの交通系ICはチャージ式なので、使いすぎを防止できる点でもメリットがあります。さらに、決済端末にスマホやカードをかざすだけで決済が完了するため、会計の流れがスムーズになります。
ただし、地方や高齢者の多い地域では普及率に差がある場合もあるため、クリニックの立地や患者層に合わせた判断が必要です。特に都市部の駅近くのクリニックでは、導入効果が高い傾向にあります。
QRコード決済:若年層の患者様にマッチ

QRコード決済は、スマートフォンを活用した比較的新しい決済方法です。特に、若年層の患者様が多いクリニック様に適しているでしょう。
患者様はスマートフォンひとつで決済が完結するため、財布を持ち歩かない若い世代にも利用しやすく、アプリ上で履歴管理ができる点も魅力です。決済スピードが速く、各社が積極的にキャンペーンを展開しているため、患者様に還元される特典も多いのが特徴。
ただし、通信環境によっては決済に時間がかかる場合があり、高齢者には操作に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。こちらも、クリニックの患者層を考慮した導入判断が必要です。
※ QRコードはデンソーウェーブの商標登録です。
比較:クレジットカード、電子マネー、QRコード決済の特徴まとめ
上記の内容をまとめたのが、以下の図です。
決済方法 | おすすめクリニック | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
クレジットカード決済 | ・自費診療を扱う医院 ・高額診療が多い ・年齢層が幅広い | ・幅広い年齢層に普及 ・高額決済に対応 ・タッチ決済で会計時間短縮 | ・クレジットカードブランドによって手数料率が異なる |
交通系ICカード | ・都市部にある医院 ・電車での通勤・通学者が多い地域 | ・都市部の普及率が高い ・少額決済も気軽に利用可能 ・決済スピードが速い | ・地方では普及率に差がある場合も |
QRコード決済 | ・若年層の患者様が多い医院 ・スマートフォン利用者が多い地域 | ・若年層に広く浸透 ・スマホ1つで決済可能 ・キャンペーン多数 | ・通信環境によっては時間がかかる ・高齢者には馴染みが薄い |
※ 手数料率や特性は変化する可能性があります。最新情報は各決済会社にお問い合わせください。
各決済方法にはそれぞれ特徴があり、クリニックの患者層や診療内容に合わせた選択が重要です。
多くの医療機関では、複数の決済方法を組み合わせて導入することで、幅広い患者様のニーズに対応しています。患者様の年齢層や診療内容をよく検討し、クリニックにとって最適な決済方法を選択しましょう。
ステップ3:キャッシュレス決済会社を選定しよう

キャッシュレス決済の種類を選んだ後は、決済会社の選定です。
以下のポイントを確認して、クリニック様、動物病院様に最適な決済会社を選びましょう。
【手数料率をチェック】
先ほども示したように、決済手段によって決済手数料率が異なる傾向にあります。ここも、選定ポイントのひとつです。
複数の決済方法を検討されている場合は、最も利用される可能性が高い決済方法の手数料率を重視すると良いでしょう。
- クレジットカード:1.5~3.0%前後
- 交通系ICカード:1.9~3.0%前後
- QRコード決済:2.5~3.5%前後
また、手数料の端数処理方法(切り捨てか四捨五入か)についても、事前に確認しておくとトラブルを防ぐことができます。
【入金サイクルを確認】
キャッシュレス決済の売り上げが入金されるタイミングは、決済会社・サービスによってさまざま。経営に大きく関わる部分なので、細かく確認した上で導入することをおすすめします。
- 一般的な入金サイクルは、月に1~3回程度
- 振込手数料についてもチェックする(決済会社負担/クリニック負担か)
【決済端末の種類を検討】
決済会社によって取り扱う端末の種類や形状が異なります。決済端末に求める要素を明確にした上で選定すると、導入後の円滑な運用につながります。
選定ポイント
- デザイン性:受付カウンターに置いても違和感のないデザインか
- サイズ:設置スペースに適したサイズか
- 機能性:単体での持ち運びが可能か
【POSレジとの連携可能性】
医療機関様によっては、売り上げ情報などを収集・蓄積できるPOSレジとの導入時に、キャッシュレス決済を導入する場合もあるでしょう。その場合、キャッシュレス決済端末と、導入を想定しているPOSレジが連携可能かどうかを事前に確認する必要があります。
- メーカーごとに連動可能な端末は異なる
- 将来的にPOSレジとの連動を視野に入れている場合は特に注意
【導入後のサポート体制確認】
キャッシュレス決済を導入する際には、設置後のサポート体制についても十分に確認しておくことが重要です。
端末トラブルが発生した際の連絡窓口や対応時間、オンサイトサポートの可否などを事前に把握しておくことで、患者様をお待たせするリスクを最小限に抑えられます。
また、スタッフの入れ替わりや新人教育のための追加研修の提供体制や、システムのアップデートが行われる際の告知方法や対応手順なども確認しておくと安心です。
豆知識:2025年3月にクレジットカード決済のPINバイパスが廃止

キャッシュレス決済に関する制度やルールは変更されることがあります。
2025年3月には、日本クレジット協会(JCA)の「クレジットカード・セキュリティガイドライン」に基づき、PINバイパスが原則廃止となりました。
これには、本人確認の信頼性を向上する目的や、国際的なセキュリティ基準に合わせ、安全な取引環境を提供する狙いがあると言われています。
PINバイパスとは?
暗証番号(PIN)の入力をスキップして、サインで本人確認を行う取引方法です。廃止となるまでは、PINレス(暗証番号なしでの少額決済)が一般的で、決済会社によって1万円~1.5万円が上限となっていました。
クリニック様、動物病院様への影響
PINバイパス廃止に伴い、医療機関様での対応変更が必要になるケースもあります。患者様が暗証番号を忘れた場合や、エラーが発生した際の対応方法を事前に検討し、マニュアル化しておくとスムーズです。
さらに、この変更を機に、より便利な「タッチ決済」に対応した機種を検討する医療機関様も増えています。これから導入を検討される場合は、タッチ決済の有無も確認しながら進めることをおすすめします。
医療現場に合ったキャッシュレス導入を
これまで、キャッシュレス決済の導入に向けた具体的なステップをご紹介してきました。
キャッシュレス決済は、患者様の利便性向上だけでなく、医療機関様の業務効率化にも大きく貢献します。
- 会計業務の効率化
- 現金を取り扱うリスクの軽減
- 患者様の待ち時間短縮
- スタッフの業務負担軽減
これらのメリットを最大限に活かすためには、クリニック様の特性や患者層に合った選択が重要です。
先ほどご崩壊した決済種類ごとの比較表や、手数料率の目安などを確認しながら、自院に最適な方法を見つけてみてください。
また、当社の提供するセミセルフレジOWENも、キャッシュレス端末と連携することで、さらにスムーズな会計処理をサポートします。気になる方は、「製品情報」や「導入事例」などをご覧の上、お問い合わせください。
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